sutomajo's blog

可愛い女の子のブログです

大正野球娘。感想

大正野球娘を見た。面白かった。とても気分よく最後まで見れた。

このアニメの百合としての見どころは一も二も無く環×雪である。小学生の頃二人は共に男子に交じって野球をしていた経験があり幼馴染みなのだが、(ここから妄想)当時男子に交じって野球をして遊ぶような女の子はそのチームにおいて雪と環の二人だけであった。と言ってもチームは雪と環を入れてやっと9人で、その中で女子二人の存在は大きくも感じられたが、体の成長につれ、10才にもならぬばかりからその差は成績に大きく表れるようになった。その頃になると一人、二人と新しい男子メンバーが加わり、二人がベンチに下がることも増えてきた。二人には自分たちが女であるということを今までとは違った意味において考える必要があった。自分たち以外男ばかりというチームにおいて初めこそお互い睦まじくした二人であったが、そういうことがあってやがて互いに反目し合うようになった。二人はそれぞれ自らが女であることをチームに対して引け目に感じた一方で、決して野球の喜びというものを忘れはしなかったからである。二人の間にはほとんど実力の差は無かった。二人にとってお互いはそれを超えることでまた試合に使ってもらえるもののように思えたが、実際にはレギュラー復帰はほとんど絶望的だった。それでも二人が練習を怠ることはなく、チームメイトや監督はその姿に一目置くこととなったが、それは二人の望んだものではなかった。六年生の春のある日、特に示し合わすでもなく雪と環は同じ日に野球チームを退団した。

その後すぐ、二人は東邦星華女学院に進学するための受験勉強を始めた。ただしこれもまた特に示し合わせたわけではなった。二人は互いが同じことをしているとは知らぬままに、それぞれ両親に最寄の女学校への進学を希望したのだった。その後入学するまでの約一年間、そして入学後も丸一年間、雪と環は一言も口を聞かなかった。何か気にくわない事があったわけではない。そんなものは初めからない。ただなんとなく、廊下で顔を見かけるたびに意識して避け合うというようなことをしていた(といっても、入学式の日に初めての教室でその顔を見たときは驚いてしばらく固まってしまったが)。

「石垣さん、ご一緒しても、よろしいかしら」――だから、あの日雪が、あんな風に声を掛けてきたのは、当たり前な風に見えて、実に二年ぶりのことだったんだ。なんだ、雪のやつ。昔はそんな上品な言葉で挨拶なんかしなかった。それに、「石垣さん」って。昔だったら、…一瞬でそんなことまで思い出してしまって、とっさにこっちもヘンな言葉遣いで返してしまった。「なのだが?」…今思い出しても恥ずかしい。